「頼む」
「嫌です」
「なんで」
「嫌だからです」
「お願いだ」
「お断りします」
シーフォートは黙り込み、デスクをこつこつと叩いた。
トリヴァーは真っ直ぐに立って背で軽く手を組み、シーフォートと目を合わせようとしない。
「…なあ、トリヴァー」
「イエス・サー」
シーフォートは、デスクの上に目を落とした。仕事をしていたから散らかっている。そろそろ終わりにしようと思い、話を切り出した。
「そんなに真剣に考えてくれなくてもいいんだ…一度だけのことだし…」
やっぱり駄目かな、と思いつつ、諦めきれない。
「だから頼む」
「嫌です」
「こんなに頼んでいるのにか」
「どんなに頼まれたって嫌なものは嫌です」
「なんで嫌なんだ?」
「なんで私にそんなことを頼むんです?」
「…………」
「…………」
「…これは仮定の話だが」
言いかけると、トリヴァーの眉がぴくりと動いた。
「もしも、きみがわたしの頼みをきいてくれると云うのなら、それ相応の礼はしなくてはいけないと思う。たとえば、代わりにきみの云うことをなんでも一つだけきくとか」
後ろを漂っていた視線が、ぴたりとシーフォートの真正面に合った。
「…何故そんな面倒なことをするんですか。命令すればいい」
シーフォートはこっそりため息をついた。
「命令したら、きみはわたしの云うことをきいてくれるのか」
すうっと、部屋の温度が下がった気がした。
「してみたら、わかるんじゃありませんか、サー」
トリヴァーは、軽蔑するような顔をしていた。シーフォートは、ちょっとほほ笑んだ。
「しないよ、トリヴァー」
「…何故ですか、サー」
「命令して、きいてもらっても仕方の無いことだからだ。わたしは…」
覚えず、うつむき加減になる。
云いたいことは沢山あった。しかしそのどれも、口に出したが最後、陳腐な借り物の言葉におちてしまうような気がして、シーフォートは何も云えなかった。
「どうしても、駄目か…?」
かわりに、トリヴァーをただ見つめる。真摯な思いを滲ませて。
トリヴァーはそっぽを向いた。
「こんなこと、本当は、頼むようなことじゃないのかもしれないけど、わたしは、ただ…」
「もう、いいです、サー」
切り込むように差し挟まれた言葉に、驚く。
それがさほど、嫌悪や蔑みを含んではいなかったことに、驚く。
自分でも、こんなことをトリヴァーに云い出すだなんて、しかも頼むだなんて、おかしなことをしているとわかっていたのだ。しかし、命令なんてできなかった。そんなことをしてしまえば、汚すことになる。相手はともかく、自分の気持ちが汚れてしまう。それだけは嫌だった。
「もう、いいです。わかりました。私だって多少は、思うところがないではないんですよ」
そむけたトリヴァーの頬は、心なしか赤く染まって見えた。
シーフォートは、ぼんやりとそれを見て、ぼんやりと、訊いていた。
「きみも、わたしと同じ気持ちだったと…」
「同じではありませんがね。貴方の考えることなんて全然わかりませんよ、サー。阿呆みたいなことに真剣になるんだから…」
しかめっ面は、照れ隠しだろう。
「こんなことで、解決できるのかどうかしりませんが、貴方の気が済むんなら付き合います。どうせ貴方とは離れられないんだから」
シーフォートは、ほっとして、「ありがとう」と呟いた。
「じゃあ、今晩…」
「今晩?」
しかしまだ、どこかためらいを含んだトリヴァーの声に、シーフォートは強気になる。ここは押しの一手だ。せっかくその気になったのに、逃げられたら困る。
自分だって本当は…、恥ずかしいのだ。
「今晩。夕食後に、わたしの部屋へ来てくれ」
重々しく云うと、トリヴァーは吐息をもらした。
「…アイ・アイ・サー」
######
…………すげぇ。
これだけ読むと、「階級をたてに部下に関係を強要することもできないほど惚れてしまったNTだったが、気持ちは通じ合っているようだ」みたいだ(爆笑)。
え?
そんなことあるわけないじゃないですか。
なんでアタシがそんなもの書かなきゃならないんですか(笑顔)。
面白いからここで切ってみよう。
今月はもう、何もできません。
云いたくないけど、これは、多分世間一般に見ても、云っても許されると思う。忙しい。気持ちもせわしないし、やることもいっぱい(ため息)。
せいぜい日記で阿呆なことを呟いていたいと思います。
「嫌です」
「なんで」
「嫌だからです」
「お願いだ」
「お断りします」
シーフォートは黙り込み、デスクをこつこつと叩いた。
トリヴァーは真っ直ぐに立って背で軽く手を組み、シーフォートと目を合わせようとしない。
「…なあ、トリヴァー」
「イエス・サー」
シーフォートは、デスクの上に目を落とした。仕事をしていたから散らかっている。そろそろ終わりにしようと思い、話を切り出した。
「そんなに真剣に考えてくれなくてもいいんだ…一度だけのことだし…」
やっぱり駄目かな、と思いつつ、諦めきれない。
「だから頼む」
「嫌です」
「こんなに頼んでいるのにか」
「どんなに頼まれたって嫌なものは嫌です」
「なんで嫌なんだ?」
「なんで私にそんなことを頼むんです?」
「…………」
「…………」
「…これは仮定の話だが」
言いかけると、トリヴァーの眉がぴくりと動いた。
「もしも、きみがわたしの頼みをきいてくれると云うのなら、それ相応の礼はしなくてはいけないと思う。たとえば、代わりにきみの云うことをなんでも一つだけきくとか」
後ろを漂っていた視線が、ぴたりとシーフォートの真正面に合った。
「…何故そんな面倒なことをするんですか。命令すればいい」
シーフォートはこっそりため息をついた。
「命令したら、きみはわたしの云うことをきいてくれるのか」
すうっと、部屋の温度が下がった気がした。
「してみたら、わかるんじゃありませんか、サー」
トリヴァーは、軽蔑するような顔をしていた。シーフォートは、ちょっとほほ笑んだ。
「しないよ、トリヴァー」
「…何故ですか、サー」
「命令して、きいてもらっても仕方の無いことだからだ。わたしは…」
覚えず、うつむき加減になる。
云いたいことは沢山あった。しかしそのどれも、口に出したが最後、陳腐な借り物の言葉におちてしまうような気がして、シーフォートは何も云えなかった。
「どうしても、駄目か…?」
かわりに、トリヴァーをただ見つめる。真摯な思いを滲ませて。
トリヴァーはそっぽを向いた。
「こんなこと、本当は、頼むようなことじゃないのかもしれないけど、わたしは、ただ…」
「もう、いいです、サー」
切り込むように差し挟まれた言葉に、驚く。
それがさほど、嫌悪や蔑みを含んではいなかったことに、驚く。
自分でも、こんなことをトリヴァーに云い出すだなんて、しかも頼むだなんて、おかしなことをしているとわかっていたのだ。しかし、命令なんてできなかった。そんなことをしてしまえば、汚すことになる。相手はともかく、自分の気持ちが汚れてしまう。それだけは嫌だった。
「もう、いいです。わかりました。私だって多少は、思うところがないではないんですよ」
そむけたトリヴァーの頬は、心なしか赤く染まって見えた。
シーフォートは、ぼんやりとそれを見て、ぼんやりと、訊いていた。
「きみも、わたしと同じ気持ちだったと…」
「同じではありませんがね。貴方の考えることなんて全然わかりませんよ、サー。阿呆みたいなことに真剣になるんだから…」
しかめっ面は、照れ隠しだろう。
「こんなことで、解決できるのかどうかしりませんが、貴方の気が済むんなら付き合います。どうせ貴方とは離れられないんだから」
シーフォートは、ほっとして、「ありがとう」と呟いた。
「じゃあ、今晩…」
「今晩?」
しかしまだ、どこかためらいを含んだトリヴァーの声に、シーフォートは強気になる。ここは押しの一手だ。せっかくその気になったのに、逃げられたら困る。
自分だって本当は…、恥ずかしいのだ。
「今晩。夕食後に、わたしの部屋へ来てくれ」
重々しく云うと、トリヴァーは吐息をもらした。
「…アイ・アイ・サー」
######
…………すげぇ。
これだけ読むと、「階級をたてに部下に関係を強要することもできないほど惚れてしまったNTだったが、気持ちは通じ合っているようだ」みたいだ(爆笑)。
え?
そんなことあるわけないじゃないですか。
なんでアタシがそんなもの書かなきゃならないんですか(笑顔)。
面白いからここで切ってみよう。
今月はもう、何もできません。
云いたくないけど、これは、多分世間一般に見ても、云っても許されると思う。忙しい。気持ちもせわしないし、やることもいっぱい(ため息)。
せいぜい日記で阿呆なことを呟いていたいと思います。
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