既知、未知。

2004年10月22日
酒見賢一さんは、件の(なんとなく最近、こんな前置きでも必要かと)ファンタジーノベル大賞の第一回の大賞受賞者であります。受賞作の『後宮小説』以来、ずっとファンであります。今現在はあまり熱心に追い掛けなくなったので(酒見さんだけではなく作家一般、というか世の事象全般を)、何をなさっているのか存じ上げませんが、書店で新しい本にお名前を拝見すれば条件反射でレジへ持って行くくらいは現在進行形でファンです。それも文庫に限ってしまった昨今、熱烈とはもはや云いがたいですが。
未読本の山を眺めていたら、ふと『陋巷に在り』の気分になったので、11巻を読んでいました。血沸き肉踊り、心逸り、大層楽しく読み終わりました。ものすごくいいところで終わっていたので12巻はまだ文庫落ちしてないのか〜ッ、と思いつつbk1へ行ったらあったので、早速注文しちゃった♪
しかしハードカバーが相変わらず、13巻までしか出ていない気がするの。「小説新潮」で確か現役連載中な筈なのだがなあ。…打ち切られていたらどうしよう。……13で終わっていたら……いやだな……。
巻数が不吉だからイヤとかでなく、巻名が「魯」だった気がするので、それだと孔子の出魯で終わりかなと。そんでもって最近、はりめぐらされてきた網が一挙に引き絞られている感じがするので、終わりかなと。しかし、『陋巷に在り』は何度もそんな感じを受けつつ、またしてもこちらが気付かず広げられているものがあるようなので、まだ終わらないかもしれない。終わって欲しくない。
長編が終わって欲しくないと思うと、必ず湧き出る思いはこれです→作者が死んだらどうしよう。
いらぬ心配ですか。でも隆慶一郎は現実に死んでるしなあ(涙)。
あ、1巻を読み返していたら、あとがきに、酒見さんも隆さんと峰隆一郎を混同していたという記述があり、嬉しかった(笑)。好きな人と同じなのは嬉しいことだ。

『陋巷に在り』で好きなことのひとつに、守り役の心情があります。
大長老様と顔穆、顔回と五六。守り役は顔氏の影です。そんでもって、友人です。そんでもって私情を持ってはならぬのです。私情で人を憎んではならず、顔穆はただ大長老様のためにだけ他人を殺すんですって、とかいうフレーズがどこかにあった。
しかし顔穆は徴在に恋し、五六は?に恋しているわけですが、五六はともかくお守り様はとてもかわいそうだった(涙)(穆のこと)。
11巻で若き日の穆が出たので懐かしくて、1から読み返してしまったのだった。そうしたらすごいことに、11巻の伏線が3巻で張ってあった。子蓉も嫌いではないので死んで欲しくないです。でもきっと次で本当に死ぬのじゃないかと思う…。9巻で多分、どこかが死んでいる筈ではあるのですが。確実に真実居なくなったら嫌だなあ。
お守り様に話を戻すと、10巻にこんなのがあって感激した。
同姓とか身分違いとか諸々で、穆が徴在を慕うのは禁忌なのです。「故に穆は愛情を崇拝の感情にまで高めねばならない。無理矢理にでもである。顔葺(注:穆のライバル的友達)にもその恐ろしい苦しさは想像するにあまりあった。」
わあ…。どうしよう。
五六はこの辺りが甘いのよね。相手が別にそれほど禁忌ではないので、そこまでいけないのかもしれませんが。でも自分のご主人様(顔回。「がんかい」と打つと「眼科医」を出すのは…仕方がないが気が抜ける)の、えーっと…多分一応想い人のような気がするのですけど。
………全部、顔回が悪いのかもしれない。まあいいけど。私、あの人に期待するのやめたのよね。11巻なんてほとんど出て来なかったけど別に気にならない程度の主人公格的登場人物でいい。
一応、11巻の事件に関わろうと家を出たところだったので、12では事件のクライマックスくらいにひょっこり現れて、泣くんじゃないかしら。ちょっと人が変わったようなのでもう少し何かするかもしれないけれど。でも初期の頃の化け顔回よりは何もしない気がする。
そういう複雑な話なのですが、大変面白いです。大好きです。酒見さん死なないで。

魔法カードがあるからアマゾンで頼んでみようかとも思ったのですが、慣れているところが好きで、思わずbk1に行ってしまうのでした。慣れているところが一番すきなの…見知らぬところは腰が引けるの…。
魔法カードもまだ一回使っただけです。眺めているだけで可愛いから満足です。カードを作った時におまけに貰った、郵便配達の人のコスプレをしたキティの貯金箱に、お釣りの五百円玉をためたりできたら嬉しいから現金払いでいいのです。
慎ましやかな幸せに大層満足しながら、福岡ダイエーホークスのユニフォームでコスプレしたキティがついたコップでお茶を飲み、百均で買ったキティの紙袋にクリーニングに出す夏服をつめ、なんか家、キティが多いな…と気付いた。
別に彼女を愛しているわけではないのですけど。気配に慣れていて神経に障らないからかもしれない。

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