『開高健の憂鬱』

2004年7月5日
(仲間秀典/文芸社/2004.5.15)
オビ「医師の目からみた開高健。その病跡と作風の関係をさぐった画期的な書。『輝ける闇』を作風の分岐点と捉えると、病跡学的にはその間に彼自身の精神内部に変調が起こったことが推測され、綿密な論考の対象となりうる。」

文芸評論、久々に読んだわ。…相変わらずわけがわからん。
病跡学的見地から開高健の文学軌跡をたどるという評論です。要するにまあ、鬱病を回復するために海外に行っていたから『オーパ!』が書けたといいたい…のか?
「病跡学の誕生と研究方法論」「病跡学の研究の実態」は面白かったですが、病跡学によって開高文学を読み解こうとした辺りから足場があやふやになり、方法論に画期的なものがあるのだと理解したので、つまるところ普通の論考ではないのかなと思った。
引用がいっぱいあるから、やっぱ文豪の言葉は違うわあv綺麗やわあv力強いわあvとかで楽しくは読みました。
伝記研究と作品研究は別になされるべきなんじゃないかと思ってしまう、やっぱり。混ぜて愉しむのは読者の勝手ですけど、曲がりなりにも自然科学を名乗る「研究」で、あの感覚に頼った言葉はどうだろう。
論文の、意味がわからなくて理解できない言葉って、流し読みする分にはトランス状態に陥れて好きなんですけど、今日は暇つぶしに読んでいたので、苛々したわ。
明快に説明してくれ!それで結論が地味だろうとそれは仕方の無いことだ!それが事実なら納得する!
とまあ、それも引用論文について思ったことで、筆者が何を結論として述べたかったのかは全然わからなかった。
竜頭蛇尾な感じがしました。

しかし今日ホントに暇だったわあ。虫が知らせたのか、朝この本を持って行こうと思い立ち、読んでしまえたので良かったです。
次は何を読もうかな。読みさし本が相変わらず山です。

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