『紀文大尽舞』

2003年12月21日
(米村圭伍/新潮社/2003.8.20)
戯作者を目指す風呂屋の娘・お夢は、蜜柑で儲けて材木商に転職して吉原で派手に遊んで四十過ぎで隠退してしまった紀伊国屋文左衛門に材を取り、「紀文大尽舞」なる戯作をものそうと紀文をつけ回していた。
だけの筈が何故か夜鷹に沼に突き落とされたのを手始めに、浪人者には襲われる、紀州の隠密&しのびと知り合いにはなる、おのれは大久保彦左衛門の生まれ変わりと言い張る老人、魚屋の太助、幇間の吉兵衛etc、既知の人々から紀文の話を聞く内に、またまた何故か大奥に潜入して前の将軍・家宣の正室・天英院とツーカーの仲になっちゃったりとかして…。
絵嶋生嶋事件真相の裏にも紀文の影アリ?!
紀伊国屋文左衛門とは何者なのか、将軍継嗣をめぐる争いがすべての元凶? お夢はあるがままの記録者になんかなりたくないのだ。あくまでも戯作者になりたいのだ。筆は刀よりも弱いと身を以て知っても、尚書かずにいられないお夢が選ぶ「紀文大尽舞」の結末は如何に。

みたいな話でしょう。
図書館で本を借りるのは良いのだが、帯もチラシも付いてないから要約が苦手なわたしはとてもとても…。「面白かった!!!!」とにっかり笑って去ります。
『影法師夢幻』で用いられた聞き書きの体裁が取ってあって、噂に尾ひれがついて講談になる過程、はたまたそれが事実へ還元してしまう過程、なんかが書いてあってとっても愉快です、にまにま。
洒脱なメタ・フィクションってところですかねぇ、にやにや。
いやあ、いいものを読んだなぁ。文庫になったら買おうv
しかしこれは誰彼構わずすすめて回りたい種類の本だわ。ひつじさん!(名指し)『風流冷飯伝』の人なの!米村圭伍、米村圭伍をよろしくお願いいたします!(リベートはもらってません)
『しゃばけ』系の軽妙洒脱だと思うんだけどなー。ちがうかしらん。例によってイラストは柴田ゆう。扉絵がすごくかわいいのよーv
米村圭伍、信長さま書かないかなー。どうなるかとても興味があるんだけど。

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