『縮尻鏡三郎』上下
2003年9月6日(佐藤雅美/文春文庫/2002.6.10)
上巻裏表紙紹介文「拝郷鏡三郎は、もと勘定方で将来を嘱望されていた役人だったが、いささかの仔細あって、クビとなる。”しくじり鏡三郎”と呼ばれることもあるが、今ではかつての上司の尽力のかいあって八丁堀近くの大番屋の元締として再就職を果たす。仮牢兼調所でもある大番屋では、町方から武士まで、あらゆる相談事がいつも持ち込まれる。」
連作短編集なのv
「いささかの仔細」絡みの事情を通低音として流しつつ、一篇一篇違う事件を解決してゆきますが、鏡三郎が切れ者だから快刀乱麻を断つように解決が為される…わけじゃなくて運が良くてたまたま今回も上手く行ったなぁという感じなのが可愛くってたまりません(笑)。
でも運も実力の内だから大丈夫大丈夫。鏡三郎はとっても可愛いです。
しゃべり方が可愛いよ、まず。「そういうことだとなんだ。〜ということにならないか」とか「そんな話、耳にしてないなあ」とトボケたり、口調が脱力系で可愛い、かわいい。
あと、「かつての上司」三枝能登守様が、よく鏡三郎の所へ妙な事件の調査を依頼しに来るのですが、そんなの調べられるのかなあと思いつつ「うーん」と悩んで、結局引き受けてしまうところがいい人っぽくて可愛い。
そもそも鏡三郎は大番屋の元締なんかやりたくないんですよ。牢屋の番人ですから。やらなくても御家人だから九十俵三人扶持は貰えるし。その上就職すればお給料が貰えるので皆、必死で就職活動をするわけですが、鏡三郎は奥さんを亡くして娘一人養えばいいだけなので別にいいやーと思っているのに、クビの一件に関わった能登守様が「おれの気持ちだ」とか云うものですから渋々引き受けているらしいのです。可愛い。
偶然が重なる強運で事件を解決する内に、十手持ちの旦那衆から公事宿の主人から、果ては幕閣の御歴々にまで名を知られることとなり、「拝郷鏡三郎に任せればなんでも解決してもらえる」という信頼感が高まって行く様が無責任で面白いです。「貴殿にお頼みすれば良いと○○殿が仰ったのだ!」「えーでもー、あれはー、なんかたまたま解決できただけですよー」「そこを曲げて!」「うーん。じゃ一応やりますけど期待しないで下さいねー」とか云って結局上手くコトを運んでしまうがためについには将軍様の信頼まで得る結果に。
すげぇ!(笑)
あ、でも、鏡三郎は以前、奉行所の留役というお役目についていたので、法律にとっても詳しいのです。六法全書みたいな物『御定書』をよく覚えているので、その知識を事件の解決に役立てたりもしてます、一応。ちゃんと役に立っているのよ。人事を尽くして天命を待つタイプなの。天命の方が目立ってしまうような気がするだけで。
あとね、あとね、北町奉行所に秋山半四郎という吟味方与力が居るのですが、この人がおかしいです。鏡三郎が就職活動をしていた時のライバルで、鏡三郎は出世街道に乗ったのですが秋山さんは上手くいかなかったの。そしてどんどん上へのぼって行く鏡三郎を見つめていたら、鏡三郎はある日突然クビになって自分の前から姿を消した…と思ったら大番屋の元締として現れた。そこに複雑なものを感じるらしくて何かあるとイチャモン付けにわざわざやって来るんです。何しに来たんですか秋山さん、鏡三郎の顔を見に来たとしか思えません(笑)。
素直に仲良くしたいのだと云えばいいのに、どうにも態度が憎たらしいので、秋山さんの気持ちはわかっている鏡三郎も、ちっとも話を聞いてはくれません。「秋山さんがお帰りだ」とすぐさま追い出してしまいます。かわいそうだなぁ、秋山さん。きっと家に帰るとぶつぶつ呟きながら一人反省会をするものと思われる。「何故あそこであんなことを云ってしまったのだろう、半四郎の馬鹿!ばかばか!…いや、俺が悪いのではない。大体鏡三郎があんな態度を取るから俺はいつでも云い返してしまってあんなことになるのではないか。そうだ、アイツが悪いのだ。…いやいや、しかしそこで己がぐっと我慢して優しい言葉でもかければきっとアイツも態度を軟化させてくれる筈…」
嫁さんが居るんだけどね、秋山さん。ムコ殿だからきっと冷たくされていることだろう。嫁さんは役者に入れあげて役宅をあけることが多くて、家庭に安らぎを見出せないから鏡三郎に文句付けに行くんだろうなぁ、かわいそうに…(勝手に話を作ってはいけません)。
佐藤雅美、なんかかわいくって好きv 居眠り紋蔵の続きが読みたくなって買って来ちゃった〜v
上巻裏表紙紹介文「拝郷鏡三郎は、もと勘定方で将来を嘱望されていた役人だったが、いささかの仔細あって、クビとなる。”しくじり鏡三郎”と呼ばれることもあるが、今ではかつての上司の尽力のかいあって八丁堀近くの大番屋の元締として再就職を果たす。仮牢兼調所でもある大番屋では、町方から武士まで、あらゆる相談事がいつも持ち込まれる。」
連作短編集なのv
「いささかの仔細」絡みの事情を通低音として流しつつ、一篇一篇違う事件を解決してゆきますが、鏡三郎が切れ者だから快刀乱麻を断つように解決が為される…わけじゃなくて運が良くてたまたま今回も上手く行ったなぁという感じなのが可愛くってたまりません(笑)。
でも運も実力の内だから大丈夫大丈夫。鏡三郎はとっても可愛いです。
しゃべり方が可愛いよ、まず。「そういうことだとなんだ。〜ということにならないか」とか「そんな話、耳にしてないなあ」とトボケたり、口調が脱力系で可愛い、かわいい。
あと、「かつての上司」三枝能登守様が、よく鏡三郎の所へ妙な事件の調査を依頼しに来るのですが、そんなの調べられるのかなあと思いつつ「うーん」と悩んで、結局引き受けてしまうところがいい人っぽくて可愛い。
そもそも鏡三郎は大番屋の元締なんかやりたくないんですよ。牢屋の番人ですから。やらなくても御家人だから九十俵三人扶持は貰えるし。その上就職すればお給料が貰えるので皆、必死で就職活動をするわけですが、鏡三郎は奥さんを亡くして娘一人養えばいいだけなので別にいいやーと思っているのに、クビの一件に関わった能登守様が「おれの気持ちだ」とか云うものですから渋々引き受けているらしいのです。可愛い。
偶然が重なる強運で事件を解決する内に、十手持ちの旦那衆から公事宿の主人から、果ては幕閣の御歴々にまで名を知られることとなり、「拝郷鏡三郎に任せればなんでも解決してもらえる」という信頼感が高まって行く様が無責任で面白いです。「貴殿にお頼みすれば良いと○○殿が仰ったのだ!」「えーでもー、あれはー、なんかたまたま解決できただけですよー」「そこを曲げて!」「うーん。じゃ一応やりますけど期待しないで下さいねー」とか云って結局上手くコトを運んでしまうがためについには将軍様の信頼まで得る結果に。
すげぇ!(笑)
あ、でも、鏡三郎は以前、奉行所の留役というお役目についていたので、法律にとっても詳しいのです。六法全書みたいな物『御定書』をよく覚えているので、その知識を事件の解決に役立てたりもしてます、一応。ちゃんと役に立っているのよ。人事を尽くして天命を待つタイプなの。天命の方が目立ってしまうような気がするだけで。
あとね、あとね、北町奉行所に秋山半四郎という吟味方与力が居るのですが、この人がおかしいです。鏡三郎が就職活動をしていた時のライバルで、鏡三郎は出世街道に乗ったのですが秋山さんは上手くいかなかったの。そしてどんどん上へのぼって行く鏡三郎を見つめていたら、鏡三郎はある日突然クビになって自分の前から姿を消した…と思ったら大番屋の元締として現れた。そこに複雑なものを感じるらしくて何かあるとイチャモン付けにわざわざやって来るんです。何しに来たんですか秋山さん、鏡三郎の顔を見に来たとしか思えません(笑)。
素直に仲良くしたいのだと云えばいいのに、どうにも態度が憎たらしいので、秋山さんの気持ちはわかっている鏡三郎も、ちっとも話を聞いてはくれません。「秋山さんがお帰りだ」とすぐさま追い出してしまいます。かわいそうだなぁ、秋山さん。きっと家に帰るとぶつぶつ呟きながら一人反省会をするものと思われる。「何故あそこであんなことを云ってしまったのだろう、半四郎の馬鹿!ばかばか!…いや、俺が悪いのではない。大体鏡三郎があんな態度を取るから俺はいつでも云い返してしまってあんなことになるのではないか。そうだ、アイツが悪いのだ。…いやいや、しかしそこで己がぐっと我慢して優しい言葉でもかければきっとアイツも態度を軟化させてくれる筈…」
嫁さんが居るんだけどね、秋山さん。ムコ殿だからきっと冷たくされていることだろう。嫁さんは役者に入れあげて役宅をあけることが多くて、家庭に安らぎを見出せないから鏡三郎に文句付けに行くんだろうなぁ、かわいそうに…(勝手に話を作ってはいけません)。
佐藤雅美、なんかかわいくって好きv 居眠り紋蔵の続きが読みたくなって買って来ちゃった〜v
コメント