(若合春侑/文春文庫/2003.7.10)
裏表紙紹介文「昭和初期、カフェーの女給をしていた人妻の『私』は、谷崎潤一郎を敬愛するサディストの帝大生と出会い男女の仲になるのだが、閨房での辱めは想像を絶するものだった。それでも相手を愛する『私』にとって、魂の救済とは何だったのか―――。文学界新人賞を受賞し、”究極の情痴文学”と絶賛された表題作の他一篇を収録。  解説・島田雅彦」

こわかった…(涙)。表題作が物凄く怖かった。やってることは紹介文通りSMだのスカトロだのの不倫なんだけど、そうじゃなくて語り手の精神が恐ろしかったわ。愛するというか、この人はただただ相手が好きらしいのよね。それが怖いわ。とってもホラーでした。
他一遍の「カタカナ三十九字の遺書」の方も別の意味で怖かった。言葉を発し、書き残すことの恐ろしさとか、発しない、書かないことの恐ろしさ凄さとか、無知で居ることの強さと弱さと悔しさとかかね。うひー、おそろしい。
所謂純文学を久々に読んだ。やっぱ怖い。

そーいへば、私、谷崎潤一郎好きなんだけど、高校の時「貴女は谷崎というイメージではない。堀辰雄を読むべきだ」と云われたことがある。あら、アタシ、堀辰雄なイメージ? そお?

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