「愛じゃよ、愛」

2003年1月28日
『パワー・プレイ』(ペニー・ジョーダン/細郷妙子訳/ハーレクイン/2003.1.15)
(勝手に)噂の”MIRA文庫”、ハーレクイン社が出していたんですね!
奥付見て初めて気付いた。しかも「ハーレクイン」という言葉、社名から来てるのか!(辞書引いてないし社歴も調べてないから)。
面白かったんですけどー(笑)。
しかし、前に読んだのものとは大層色が違い、一体読者層をどの辺りに定めているのか全然わからなくなりました。

前に読んだのは(発掘)。
『エトランジェ伯爵の危険な初恋―メイフェア・スクエア7番地―』(ステラ・キャメロン/石山芙美子訳/2002.9.15)
裏表紙紹介文「19世紀のロンドン、メイフェア・スクエア7番地では、ひとりの幽霊が頭を悩ませていた。誇り高き彼の野望は、自分が建てた屋敷におよそふさわしくない下宿人たちを一掃すること。おりしも、さる国の高貴なお方が妹君のお相手役を探している。スマイルズ姉妹を追い出す絶好のチャンスだ。阻むべきは、メグ・スマイルズとその新しい雇い主との”不適切な関係”だ。愚かなメグに、身のほどをわきまえさせてやらなければ。幽霊は、ある計画を実行に移した。」

これだけ読んでハーレクイン・ロマンスだと思う人が居たら尊敬するよアタシは!
だっててっきりゴシック・ホラーかライト・ミステリだと思ったんだもん。思わない?! うまくしたらスプラッタかもしれないとさえ思った、アタシは。
まさか”不適切な関係”が主眼だと思わないじゃないですか(笑)。

『パワー・プレイ』は前半五分の三、読んでて気持ちが悪かった。
ストーリー的には、主人公が若いとき四人の男に屈辱と恐怖を味わわされたと思い、十一年の年月をかけて復讐の準備をする。すべての準備が整い、復讐の幕が開いた時――。
というものですが、”MIRA文庫”だしね〜という前知識があったせいか、意外性を楽しむより「くるぞくるぞくるぞくるぞ〜!! …きたあああああ!!」って叫べて面白かった。
構成は、主人公が成功の絶頂に居て復讐の対象たる男達に最後通牒を突きつけるところから始まり、主人公の母親からの生涯をたどり、次に男達の人生をなぞるのですけれど、描写が絶対おかしいおかしい。こいつだぁ♪ みたいのがあるわけ。
だって世の中Boy meets Girlに還元されるからな〜。主題にはならなくとも味付けくらいには使うじゃない? それを主眼にしようという”MIRA文庫”よ?
相手が居なくちゃなあ。ね?
で、後半五分の一、ロマンスなわけ♪ 欧州人らしく熱帯の気だるげな空気の中で愛を確かめるわけね。
それでもってラスト五分の一は手に汗握るアクションなの。オチわかっててもどきどきするじゃないですか〜♪
そして結びになんと!教訓までちゃんと書いてある。一読なんて親切な本なのかと目を剥きましたよ。
ハーレクインてこうなんですかあ〜?(笑)
これはちょっと調査する必要があると思った。同作者の作品を読んでいくか、文庫で復讐物から読んでいくかは迷っているところなのですが。
何はともあれ古本屋行って主流ハーレクインダークピンク表紙棚千円を買って来て読んでみなくちゃ始まらないわね。
しかしこれは凄かったです。凡そわたくしが「ハーレクイン」という言葉に抱いていたイメージを粉々のメタクソにぶち壊しました。
だってロマの霊感は出てくるし黒ミサは出てくるし精神異常者は出てくるし同性愛は出てくるし(男女共)社会経済に精通した人々やらそれでも英国的人種やら。匂わせただけでロマンスぶち壊しなんじゃと懸念されるものが多々。
この辺が某ライトピンクの文庫との違いなんですかねぇ(ターゲット読者の違いね)。
まっこう恋愛ものってこの年になるまでマトモに読んだことなかったので(『好色一代男』がそうだとは思えないし)、大層衝撃を受けましたわ。
はっはっは。面白すぎる、MIRA文庫。

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